ちょっとだけ「ココロ図書館」を語りたいのです。

 さて、このココロ図書館とはいったいどんな作品なのでしょうか?簡単に説明すると街から離れた山の中に建つ小さな図書館に三姉妹が司書をしながら暮らしています。当然山の中にある図書館ですから利用者は数えるほどです。「何故こんなところに図書館が?」そして「奇蹟」というキーワードを一話から何気なく意識させながら心温まる物語りは進んで行きます。そしてラストに明らかになる「奇蹟」の意味とは・・・。

 今まで沢山の色々な作品を観てきましたが、そんな中でも現時点で一番のお気に入りに上り詰めた作品がこの「ココロ図書館」です。実はこの作品、オンエアーされる時に私は視聴リストから外そうとしていました。この頃に品質の良くないギャルものの作品が目に余り、このココロ図書館もそんな作品のうちの一つなのだろう。そう思ったからです。では何故観ることになったのか?単にその頃、私の中で赤丸急上昇な声優の沢城みゆきが長女役を演じると知ったからです。期待通り彼女の活躍は素晴らしく、想像以上だった訳ですが、それよりも作品から伝わってくる暖かさが私好みで心地よかったというのが大きいです。一話目で「おっ」と思わせる作り。最近では3話くらいまで観ないと(最後まで観てもわからないのもありますが)わからない作品が多い中、非常にストレートでかつ引き付けられるものがあり、観続けてみようと思わせたのです。そして何より全13話(本編12話完結)という少ない話数での構成の素晴らしさに興奮させられました。なんといってもガラリと雰囲気の変わる11話です。10話の「図書館がなくなる」の次の話ですからどんな話になるのかドキドキしていたのですが、そこへ持ってきた「ジョルディの日記」、私はコレにやられました。最終回前のたった一話で全てのピースがガシガシはまっていく感覚。とにかく見事でした。そして12話の「こころ あると いいな」。もぅタイトルだけで泣きそうです。不覚にもこのタイトルをみるまで名前にこんな意味が込められてるとは気づきもしませんでした。それだけ構えることなくぼんやりと観れていた作品だったということでしょう。

 ここまで気に入ってしまうと気になるのはどんな人達がこの作品を作ったのか?というところに意識が向く訳ですが、まず目に飛び込んできたのは監督の「舛成孝二」氏、脚本家の「黒田洋介」氏の二人でした。舛成孝二氏に関しては失礼ながらこの時まで存じ上げませんでした。しかし、過去に遡って調べてみると今迄見てきた作品に多く関わって居ることを知り、更に好ましいものが多かった事に驚きました。 黒田洋介氏に関しては友人にファンが居た為に話は色々聞いていましたし、黒田さんが脚本の作品は好ましいものが多いというのは自覚していました。なので、これもココロ図書館を見ようと思うきっかけの一つだったと言えるでしょう。

 音楽面においても特筆すべき点がいくつもあります。私はアニメのサウンドトラックと呼ばれるものはあまり買わない人でした。それは過去買った事のあるサントラの殆どが一回聴いたら以後何回も聴きたいと思えるものではなかったからです。聴いてもピンとこない曲もあるほどでした。しかしココロ図書館のサントラは聴くと情景が思い出されるのです。これは作品中にBGMが密接に関わっていたことを意味します。観て頂ければ分かるのですがキャラが台詞を発しない時間が非常に長いのも特徴の一つなのですが、そんな時は必ずBGMが流れています。どんな時にでも流れています。時にはゆっくりと、時には暖かく、時にはコミカルに、時には切なく、このBGMがココロ図書館の時間の流れと言っても過言では無いくらいに。そんな始終流れている音楽ですから曲としての完成度も高く、環境CDとしても心地よい一枚に仕上がっています。そしてそのBGMの殆どを「保刈久明」氏が作曲しています。

 音響監督の「菊田浩巳」嬢の存在も大きかったのではないでしょうか。キャストのインタビューからも推察できますが非常に頼りにされているのが良く分かります。若いキャストの多い中、ココロ図書館の独特な雰囲気が出せたのも彼女あっての事だと思います。ちなみに拝見したことはありませんが、想像した私の菊田女史像は漢前な頼りになる姉さんといったところでしょうか(笑)

 そしてビジュアル面では「木信孝」氏の美麗なイラストを抜きにして語ることは出来ません。原作の漫画でも絵が綺麗なのは勿論なのですがカラーページの何とも言えない個性的な雰囲気は黒田氏の脚本があったとはいえ特筆すべきだと思います。 そしてアニメでも原作に負けないクオリティを出せていたのではないかと感じます。制作のスタジオ ディーンの名前を意識しだしたのもこの作品からだったと思います。現在も安心して観れる作品を手がけてくれるスタジオという認識は変わっていません。

 キャストに関しては当初こそ「沢城みゆき」さんをダシに見始めた訳ですが、見ているうちにキャストを意識せずにキャラの声として観れたこともココロ図書館が好きな理由の一つです。しかしながらこの作品で初めて体験した「斎藤千和」さんの演技には幾度となく心を鷲掴みにされました。特に泣きのシーンや感情を搾り出すようなシーンでの彼女の演技は絶品で、現在の彼女の活躍を見れば押して知るべしでしょう。

 そんな数々の要因が集まって出来た私にとって奇蹟のような作品が「ココロ図書館」なのです。

 ここまで読んでくれてありがとうございます。少しのつもりが随分と語ってしまいました。読み返すと恥ずかしい事を沢山言ってますがそれはまぁ好きだということで勘弁してください。(笑)もし、この拙い文章を読んで一人でも二人でも興味を持ってくれたら嬉しいかぎりです。さて、またココロ図書館でも観ますか(笑)

Since 2005.03.23



原作:木信孝(メディアワークス「月刊コミック電撃大王」連載)
脚本: 黒田洋介(スタジオ オルフェ)
キャラクターデザイン: 橘 秀樹
音響監督: 菊田浩巳
監督: 舛成孝二
アニメーション制作: スタジオ ディーン
製作: ビクターエンタテインメント
■キャスト
こころ: 斎藤千和
あると: 市原由美
いいな: 沢城みゆき
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